アングルのヴァイオリン
19世紀後半から20世紀初頭に作られた
自動演奏楽器を展示しているスペースに行った。
楽器店で電子ピアノやシンセサイザーが自動演奏しているのは聴いた事があるが、
100年前の自動演奏楽器はどんなものだったのだろう?と興味を持っていた。
閉館時間までは毎時間ごと展示している自動演奏楽器の音を20分弱ほど聴かせてくれる。14時半頃、現場に着いたので15時からの回の演奏を聴いた。
「ピアレス・トリオ・オーケストリオン」という名前の自動オーケストラの音を聴く。
なかなか良い音であるが、それ以上に外観にそそられた。
タンスほどの大きさなのだが、前面がステンドグラスの扉になっており、
扉を開くと演奏中の内部から灯がともっている。
扉を閉めると灯のせいでステンドグラスが浮かび上がり、とても綺麗だった。
次は「クナーベ・アンピコ」という名前の自動演奏ピアノの音を聴いた。
この「クナーベ・アンピコ」の凄いと思ったところは、
ただ譜面にそって自動演奏するのではなく(自動演奏楽器の譜面は穴が開いており、それが音符の代わりになるのだが)名ピアニストが弾いた(レコーディングした)譜面を使用し、演奏家のニュアンスや「間」までも再現するところだ。
演奏も情感あふれるピアノの音で驚いた。(MIDIができる遥か前のシロモノ)
鍵盤がバキバキ沈んでいく様を見ていると、まるで透明人間が弾いているようだった。
ピアノの白鍵盤の側面部分は塗装されておらず木目だった。
白鍵盤が演奏にのってリズミカルに沈んでいくと、
隣接する音の出ていない白鍵盤の側面の木目が浮かび上がった。
その木目が物凄く速く動く点の様に見え、刺激を感じた。
15時の回はこの2台の楽器演奏で終了。
その後、用事もあったので帰る予定だったが、
大変面白かったし、まだ音を聴いていない自動演奏楽器が何台もある。
用事は少し遅らせて16時の回も聴く事にした。
16時からの回は「アンコール・オートマティック・バンジョー」という自動演奏バンジョー(!)と「27インチ・ディスクオルゴール」という大型オルゴールの演奏を聴いた。
自動演奏バンジョーは面白かった。
「ピック」の代わりに金属製のフックが数本出ており、それで弦を弾いていた。
大型オルゴールは突起の付いた巨大な円盤をセットする。
円盤が1周すると1曲が終了。巨大な円盤はオルゴール下の引き出しに収納する。
(円盤は数枚ある様だった)
ここまで来て俄然気分がノってしまい、今日の用事は後日に回すことにした。
17時の最終回も聴く事にした。
17時の回は俺一人しか客はいなかった。
職員のお姉さんとも顔見知りになり、リクエストを聞いていただいた。
この展示室にある一番巨大な自動演奏楽器の音を聴きたかった。
「パッカード・ウェルテ」という名前の自動オーケストラである。
(ほとんどプレハブのような大きさだ)
「パッカード・ウェルテ」の中を覗くと、
パイプオルガンを小さくした感じの羅列したパイプと、
シンバル、バスドラ、スネア、トライアングルなどが見えた。
「かなりの大音量なので気をつけてください」とお姉さん。
演奏が始まった。
確かに大音量だ。今日聴いた自動演奏楽器の中で一番重厚な音がする。
感心したのが、音量のダイナミクスを前面にある木製のルーバーを可動させ、
そのルーバーの開き具合でダイナミクスをつけるといったものだった。
もう一つのリクエストは、
「ハップフェルト・フォノリスツ・ヴィオリナ」という自動演奏ヴァイオリン。
窓の中に3台のヴァイオリンが逆さ吊りにされている。
指板には複雑な金属製のカポの様なものがガッチリとセットされており、
3台のヴァイオリンの周りを囲む鉄の円の内側に張られた弓(ちゃんと馬の毛を使用している)で音を出す。
弦を押さえて弾く楽器の自動演奏ってとても難しいと思うのだけど、
この演奏も面白かった。
しかしこの「ハップフェルト・フォノリスツ・ヴィオリナ」という自動演奏楽器には
どこかSM的なものを感じた。
ヴァイオリンのフォルムは女性的だし。
それが窓の中で3台とも逆さ吊りにされ金属製のパーツで拘束されているし。
有意義な日を過ごした。
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